2015年4月25日土曜日

汚点(個人の回想録)2

2006年年末から2007年初夏、セカンドライフ日本語正規版リリースまでの期間は、今のTSUが置かれた状況に良く似ています。今回はセンドライフで当時、著作権がどのように考えられ、実際のユーザーへどのような影響があったか?を書いて行きます。当時の経験が現在のTSUと重ね合わせると、今後の対応への参考になると思います。

第2話。当時のセカンドライフでの著作権の状況。

セカンドライフは、クリエーターサイドから見ると実際良く出来たWebサービスです。クリエーターは思いのままに、お気に入りのキャラクターを制作し、それを身にまとい活動していました。場合によっては親しい友人に、自分の作ったアニメキャラクターをあげて、数人でキャラクターに変身して遊ぶような事が日常でした。ガチャピン・ムック・ワンピースのチョッパーなど人気でした。

製作者自身は、親しい身近な友人と遊ぶための玩具とした意識で、著作権を侵害している認識はありませんでしたが、これを受け取った人の一部と、騙し取った人が転売を始めます。

制作物へ制作者名を表記する機能はありましたが、当時は一般的にその表記を行う人は稀でした。製作者表記の無い著作権侵害製品が売り出され、その制作を自身が行い、それを売られてしまうと自身が訴えられる可能性があるので、転売を止めるように申請しても、
「~~というアバター(すでにログインしないようになった)から、販売の許可を受け数万リンデンドル支払った。製作者表記の無いこの製品が、君自身の制作物で、実際君へ著作権侵害の訴えが起こり、君の制作だと証明されたら対応しよう。」と切り替えされてしまう。

セカンドライフの制作物には、別にコピー機能の許可・不許可のチェックマーク機能もあったのですが、この問題を取り上げるまで、その機能を認識している人は少数でした。

製作者表記をしていたユーザーはもっと深刻で、コピー機能を許可した設定で制作した製品には直接著作権侵害の訴えを起こされる危険が伴います。

さて、この様にしてばら撒かれたキャラクターや、個人が楽しみの範囲で身に纏って使用している人気キャラクターのコピーアバターに関して、当時のメディアや企業はどの様に見ていたか?

基本はノータッチです。見なかった事にします。問題にして個人を吊るし上げても企業イメージや番組イメージの向上に繋がらないのです。あまりに問題が大きくなった場合は、著作権者に報告はするでしょう。しかし私のいた期間で報告された例も、侵害の訴えでアバターや制作物の取り下げを行った例も、一件も報告されてきませんでした。
また私たち宝島は、メディアや企業とタイアップしたイベントを複数回行いました。その時の担当者さんからの注意事項の要請は、
「キャラクター物のアバターや、製品が画面に露出しないようにしてください。」と言ったものでした。
そこで私たちは、イベントの際にはイベントを行うSIMとは別のSIMで、参加者のアバター確認と注意事項の徹底して行い、この問題に対処しました。

私の知る限りでは、企業がこの様な風潮に楔を打ったケースとして、博報堂DYが行ったテレビ番組ロボット物の放送開始に先駆け、このロボットアバターを著作権表示を行い限定配布したケースです。足の裏にしっかりコピーライト表示がされていました。

また、ルパン三世のキャラクターも現われ、よく出来たアバターなのでオフィシャルなのか聞いた事があります。所属は明かしませんでしたが、オフィシャルのキャラクターだと言っていました。このルパン三世を私はセカンドライフ上で逮捕しました。手錠というオブジェクトを彼に渡し使ってもらったのです。銭型警部以外で、ルパン三世を逮捕した経験のある数少ない人物の一人だと自負しています。

ここまで私は、著作権に関して当時を回想し経験した事柄を書いてきましたが、この時点で(セカンドライフ正規日本語版リリース以前)私自身が著作権侵害を行っていた事に気がついていませんでした。

それは昨日の記事の中(昨日の記事)で触れた、日本語対応フォントのインストールに関してです。このフォントにも製作者がいて著作権が該当します。当時このフォントの使用を正式に著作権者に求めた人は居なかったのです。その事実を知らずに私や宝島は、多くの人にこのフォントのインストールを薦め、その手伝いをしてきました。

この問題に関しては、有識者の間で様々な憶測が流れました。しかし、その後日本駐在になったリンデン社の社員が、
「あの問題は違法であった。侵害の報告や取り下げ申請が行われる前に日本語対応できた事が幸いであった。」と語っています。

この例でも分かるように、著作権はその権利保有者の認識によって、法的取り扱いが変わってきます。権利保有者の申告によって法的手続きが行われるのです。

現在TTP交渉に伴い、著作権に関する国際ルールの規定が求められています。今後この解釈が通用していくか?疑問点が多く残る問題です。

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