2015年4月27日月曜日

汚点(個人の回想録)4

前回に記事で(世界賃金格差の現実1)、グレーゾーンだったバーチャル売春がアダルトSIMと言う形でリンデン社に容認された経緯を書きました。今回は同じくグレーゾーンにあったカジノがどの様にして全面禁止に至ったか?を書いて行きます。

第3話。世界賃金格差の現実2。

2007年春に、アメリカ経済誌(フォーブスだったと記憶しています。)の表紙に、前回の記事で紹介したミリオンダラーを稼いだアバターが掲載されます。これは極めて異例の事で、世界中のマスメディアが挙ってこの事を紹介し、セカンドライフは人気が爆発します。

このメディアの動きと同調し、アメリカ議会がセカンドライフの仮想通貨の是非を改めて問う事になります。仮想通貨でマネーロンダリングの可能性が追求されました。これは丁度、昨年話題になったビットコインの時と似た状況でした。

当時グレーゾーンではありましたが、セカンドライフ内のカジノは一定の顧客支持を集め、リンデン社にとって大きな収入源になっっていました。アメリカ資本のカジノもありましたが、その多くは香港やマカオあるいはシンガポールの資本が流れ込み、アメリカの司法の及ばない範囲に拡大していました。

この事により、マネーロンダリングだけではなく、アメリカがテロ支援国家と表明している第3国に不正送金されたケースも確認され、大きな問題に発展します。

当時セカンドライフ内では、こういったカジノ経営者たちが富の再分配と言ってマネーツリーというオブジェクトを設置し、カジノ経営と同時にセカンドライフ内でお金を持たない無料参加の参加者へ仮想通貨を分け与える事で、一定の仮想通貨の循環が行われていました。

マネーツリーは、そこをあさる事でランダムに点滅する1リンデンドルのアバターへ送金手続きが行われます。運がよければ10分間に5リンデンドルを得る事もできましたが、運が悪ければ3リンデンドルに届かない時もあります。

私はこの事に衝撃を受けます。複数のアバターがマネーツリーを漁る光景を、モニターの向こう側で富の再分配を行っている人たちが、砂糖に群がる蟻を見るように半ば馬鹿にしながら眺めているのでは無いだろうか?といった衝撃でした。

またわずか数十リンデンドル、日本円で数十円のために日本人が貴重な時間を無駄にしてほしくない。日本なら一時間でこの何十倍も稼げるわけだし。同時に、この数十リンデンドルが、実世界の時間給を上回る国や地域の方の邪魔を日本人が行うべきではない。そう思いました。

そこで私はセカンドライフ内のイベントを通して、参加者に賞金を分け与えるスポーツイベントを開催します。それは主にフットサルの試合でした。実際に試合に参加し、はじめてリンデンドルの報酬を得たという人も居ました。

この賞金は、はじめ私個人のポケットマネーで出資していましたが、のちに協力者を得て賞金を折半で賄っていました。いずれイベントにスポンサーが付いた暁には、賞金をそのスポンサーに任せるつもりだったのです。しかし、これは宝島といったセカンドライフ内のボランティア団体が前面にでた事で、ボランティアとしての資金の流れが不透明になると言った理由で、企業による資金協力の道が断たれます。

また、この資金の流れが不透明である、といった誤解が私自身に降りかかり、後に追い込まれていくわけです。

そんな時アメリカ議会は、ひとつの結論を導き出しました。合衆国憲法ではカジノの経営が州を跨ぐ事が出来ません。ネバダ州の条例で通ったカジノでも、ニューヨークやワシントンといったほかの州では、また別の条例に従い通らなければなりません。

個々の州の条例を通過していないカジノは、違法であるといった判断にいたり。セカンドライフ内のカジノは全面禁止になりました。

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